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大琳派展  継承と変奏 [東京国立博物館]

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上野の、東京国立博物館にて、『大琳派展』が、開催されています。

会期は、2008年10月7日~11月16日。

この展覧会は、尾形光琳の生誕350年を記念しての開催であると言うことです。

 

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今回の展覧会の呼び物は、俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一・鈴木其一の四人の画家が、同様の構図で描いた『風神雷神図』が、一堂に会するということです。
但し、展示替えがある為、すべての作品が揃うのは10月28日以降であるということで、前評判の高さから、混雑を予想して早めに観にいった僕は、残念ながら一堂に会した『風神雷神図』を見ることは出来ませんでした。

 

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上の図は、東博所蔵の尾形光琳の描いた『風神雷神図』です。

これは、本阿弥光悦や俵屋宗達に私淑していた尾形光琳が、宗達の描いた『風神雷神図』を模写する形で、作品に仕上げたものです。
更に、その尾形光琳の作風に惹かれた酒井抱一、そしてその弟子の鈴木其一が、同様の構図の『風神雷神図』を描いています。

琳派とは、抱一の直接の弟子であった其一を除けば、それぞれの画家が師と仰ぐ画家に直接師事したと言う訳ではなく、私淑するという形を取って、断続的に継承されて来た流派であるという一つの定義があります。

因みに、「私淑(ししゅく)」とは、ある人物が憧れを抱く学者や芸術家等に、直接師事をせずに、その言動を模範として学ぶことを言います。

宗達は、桃山期から江戸初期の人物と言われていますが、生没年は不詳されており、恐らくはその没後に光琳が生まれたと思われます。
その宗達に私淑した光琳が、その画風に別に学んだ狩野派等の要素などを加味しながら継承し、更に光琳の没後に生まれた抱一が、それにまた独自の要素を加えて継承し発展させて行きました。

この同一の構図で描かれた、4つの『風神雷神図』は、それぞれの画家が、心の師と仰ぐ先達に捧げるオマージュであり、同時にそれが琳派の継承と発展の様相を、具体的に表す作品として捉えると、図録のページの上で観ても、一見そっくりに見える作品のその一つ一つが個性的な絵画としての輝きを見せていることに気付くことが出来ました。

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今回の『大琳派展』は、どうも『風神雷神図』のみが、目立っているような感じもしますが、その他にも優れた作品が多く展示されています。

中でも、僕が惹かれるのは、上に掲示した酒井抱一の『夏秋草図屏風』です。
これは、元々は尾形光琳の『風神雷神図屏風』の裏面に描かれたものでしたが、現在は別々の作品として仕立て直されたようです。

この作品の素晴らしさは、小さな画面では到底伝えられませんので、まだご覧になっていない方には、是非実物を観られることをお薦めします。

また、この作品は、所蔵する東博でも、代表的な館蔵品の一つと捉えているようで、この図柄をモチーフとした一筆箋やハンカチを、かなり以前からミュージアムショップで販売しています。

 

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会場まで、あと100メートルの告知看板です。
併催されている『スリランカ展』も、勿論見て来ましたが、こちらも時間の余裕が出来ましたら紹介したいと思っていますが、どうなるか分かりません・・・。

今回の『大琳派展』の出品物の中に、酒井抱一が編纂した『乾山遺墨』という東京藝術大学図書館所蔵の木版本があるのですが、実は僕も同じ題名の木版本を持っています。
今回の展覧会では、その本に就いて何か詳しいことが分かるのではと、多少の期待を持っていました。
そして、確かにその本が展示されていたのですが、それを見たとたんに、今度は別の疑問が生じました。

今回の記事では、本当はもう少し別の作品に就いても書く予定でしたが、その時点で、僕の当面の関心は『乾山遺墨』に就いての疑問の方に移ってしまいました。

ですから、今度はメインブログの方で、『乾山遺墨』を取り上げることにします。

尚、展覧会の日程等は、以下の東京国立博物館のURLをご参照ください。

http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=X00/processId=00

 

 


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コメント 2

sanesasi

見に行きたいと思いながら まだ行くことができません
確かわたしがこの前見たときは『風神雷神図』を見た後 裏へ回って『夏秋草図屏風』を見たと思ったのですが 今は離れてしまったんですね なんだか ちょっとショックを受けました
by sanesasi (2008-11-11 21:36) 

アルファルハ

albireoさんよいお年を…。
by アルファルハ (2008-12-31 23:54) 

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