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『忘れえぬロシア』 国立トレチャコフ美術館展 [ザ・ミュージアム]

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   国立トレチャコフ美術館展
                『忘れえぬロシア』

       Bunkamuraザ・ミュージアム
                 2009年4月4日(土)~6月7日(日) 〔開催期間中無休〕

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ジョン・エヴァレット・ミレイ展 [ザ・ミュージアム]

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「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」が、 東京・渋谷の Bunkamuraザ・ミュージアムで、開催されています。
会期は、 2008年8月30日(土)~10月26日(日)


ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829~96)は、19世紀のイギリスの画家で、晩年にはロイヤル・アカデミーの会長に選任されるという、当時から高い名声を博した画家でしたが、没後110年以上を過ぎた現在でも、その人気は衰えていません。

今回の展覧会は、ロンドンのテート・ブリテンで2007年9月から始まった巡回展で、今年の春にアムステルダムのゴッホ美術館での開催後、日本で展示されるものです。
また、日本では既に6月7日(土)~8月17日(日)に、福岡県の北九州市立美術館で、同展が開催されています。

今回のミレイ展で、もっとも注目されている作品は、告知看板やチラシにも印刷されている「オフィーリア」です。

 

                                          ミレイ展  図録表紙

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         柳の木が一本、小川のうえに差しかかって、
         白い葉裏を流れの鏡に映しているところ。
         あの娘(こ)は柳の葉を使って、きんぽうげ、いらくさ、ひなぎく、
         それに口さがない羊飼いたちが淫らな名で呼び、
         純潔な乙女たちは死人の指と呼んでいる紫蘭をそえて、
         きれいな花環を上手につくり、その花の冠を枝垂れた枝に
         掛けようと、よじ登った途端、枝は情(つれ)なく折れて、
         形見の花環もろとも、哀れにむせぶ小川に落ちました。
         裳裾はひろがり、しばらくは人魚のように川面をただよいながら、
         古い讃美歌を口ずさんでいたといいます。

                          ハムレット   第四幕 第七場 より

                                    シェイクスピア 作
                                    野島秀勝 訳
                                         岩波文庫
 

ミレイの代表作と言える「オフィーリア」は、敢えて断るまでもなく、シェイクスピアの「ハムレット」に題材を採って描かれた作品です。

ミレイの「オフィーリア」は、その制作段階から、様々なエピソードに彩られた作品です。
その中で、今回の展覧会で知った一つのエピソードをここに書いておくことにします。

この作品が、初めて公開された折、展示されていたギャラリーに、ある植物学の教授が、学生たちを引率してやって来たそうです。
その教授は、「オフィーリア」の絵の前に立って、画面に描かれた花々を指しながら、植物学の講義を始めたということです。

このエピソードは、今回の展覧会の会場内で上映されていた、ビデオ映像の中で、ミレイの孫が伝え聞いた話として紹介されていましたが、僕にはなんとも興味深く感じられる逸話でした。

「オフィーリア」の画面には、様々な植物が精緻に描かれていますが、その描写は植物学的に見ても、非常に正確なものであることを示す逸話なのだと思います。

 

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                                         初めての説教(部分)

ミレイの作品には、これまでにも日本で公開されたものもあります。
1989年に東京都美術館で開催された「テート・ギャラリー展」には、「オフィーリア」も出展されていましたし、2003年に東京藝術大学の大学美術館で開催された「ヴィクトリアン・ヌード」展にも今回出展の「遊歴の騎士」が展示されていました。

これほど大規模なミレイの回顧展が開催されるのは、勿論日本では初めてのことですが、本国のイギリスでも、久々のことであるそうです。

ミレイの作品の画題は、多岐に渡っており、それぞれに素晴らしい作品がありますが、上に掲げた「初めての説教」を嚆矢とする「ファンシー・ピクチャー」と呼ばれる作品群は、その愛らしさや美しさから、多くの人の心を惹き付けているようです。

今回展示されていたファンシー・ピクチャーには、少し前にこのブログの記事でも取り上げた、上野の国立西洋博物館所蔵の「あひるの子」も含まれていて、何度も目にしている絵画でありながら、何故かとても新鮮な感覚で、観ることが出来ました。

やはり、 僕も一連のファンシー・ピクチャーには、とても心惹かれますが、今回は別のジャンルの作品で、些か違った意味で興味を惹いた作品がありました。

 

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                                        しゃべってくれ !

それが、この「しゃべってくれ ! 」です。

この作品の左側に描かれた女性は、実は幽霊なのだそうです。
それは、右側で片手を伸ばしている男性の嘗ての恋人で、花嫁衣装を着た幽霊となって、男性の寝室に出現した場面を描いているのだといいます。

図録の解説によれば、ミレイは超自然現象に関心を持っていたそうですが、この絵の女性の姿に就いて、これは幽霊なのか女性なのか?という問い掛けに「狙いはそこさ」「私にも見分けはつかない」と答え、絵の中の右側の男性を指して「あの男もそうなんだよ」と語ったそうです。

だとすると、これはミレイの描いた幽霊画なのでしょうか?

幽霊や妖怪が好きな僕としては、絵画作品としての好き嫌いは別として、とても興味深い作品と言えます。

 

 

今回のミレイ展を観にいったのは、開催2日目の8月31日のことでした。
その後、出来るだけ早くブログの記事にする予定でしたが、日々の出来事に取り紛れていた上に、今回の展覧会に出展された作品が多く、文章に纏めることが出来兼ねていました。

と、いう事で、既にミレイ展の会期も後半に入ってしまった上、内容的にも全く纏まりのない記事になってしまったことを、どうぞご容赦願います。

 

   展覧会の、会期・アクセス等についての詳細は、以下のサイトをご参照ください。

     Bunkamura ミレイ展 公式サイト

 

   また、「オフィーリア」の絵画作品に就いては、So-netブログのlapisさんが、素晴らしい記事を
   書かれていらっしゃますので、興味のある方は、是非ご覧になることをお薦めします。

    カイエ  ジョン・エヴァレット・ミレイ『オフィーリア』 

 


ルドゥーテの薔薇 [ザ・ミュージアム]

              barakk-001.jpg 展覧会チラシ

18世紀半ばから、19世紀の半ばにかけて生きた、宮廷画家ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ(1759~1840)の、生誕250年を記念して開催されている展覧会『薔薇空間 宮廷画家ルドゥーテとバラに魅せられた人々』を観て来ました。

この展覧会は、東京・渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で、2008年5月17日~6月15日まで、開催されています。

ルドゥーテは、マリー・アントワネットやナポレオン妃ジョセフィーヌに仕えた宮廷画家でしたが、同時に「バラのラファエロ」とも呼ばれた画家で、その著書である『バラ図譜』は、ボタニカル・アートの金字塔とされているといいます。

 

               barak-001.jpg 展覧会図録

 

『バラ図譜』には、169枚の多色刷りの銅版画が収められていますが、今回の展覧会では、その全作品が展示されています。

また、アルフレッド・パーソンズのリトグラフ。日本の、ボタニカル・アートの先駆者、二口義雄の水彩画や、現代の写真家 齋門富士男の作品等も、同時に展示されています。

 

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     バラの画家 ルドゥーテの作品は、植物学的な正確さと芸術性とが、見事に共存しています。

 

                             barak-002-2.jpg

     今回の展覧会場には、数か所にバラの香りを愉しめるコーナーが設けられていて、
     心地良い仄かな香りが漂っていました。   

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    ルドゥーテの『バラ図譜』は、つい最近 河出書房新社から、その復刻版が出版されています。

    先日、lapisさんが、その画集を手に入れられたという記事を書かれていました。

    lapisさんが、そのブログ「カイエ」で紹介された内容を拝見して、取り敢えずは実物を手に取っ
    てみたいと思っていましたが、今日の展覧会場のミュージアム・ショップで、現物を見ることが出
    来ました。

    先ずは、手にした本の赤い布張りの表紙の感触に心惹かれ、図版の美しさに心惹かれましたが、
    今日は東京地方は、かなり激しい雨が降っていた上に、もう一か所寄りたい所もあったため、本日
    は、入手を断念して帰って来ました。(勿論ですが、価格が高いという問題もあります・・・)

    当面は、今日買って来た図録の絵を愉しむことにして置きますが、多分それを見るうちに、大判の
    画集を、改めて手にしたくなることは、目に見えていますが・・・。

  展覧会の詳細は、以下のサイトをご覧下さい。

     http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/08_rose/

  lapisさんの『バラ図譜』の紹介記事は、以下のURLです。

    http://lapis.blog.so-net.ne.jp/2008-05-19

 

 


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